日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
ダブルルート造影法を用いた三次元 CT venography による小伏在静脈瘤の術前評価
佐藤 克敏渡橋 和政森田 悟岡田 健志三井 法真今井 克彦内田 直里末田 泰二郎
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2013 年 42 巻 5 号 p. 384-390

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抄録

小伏在静脈が深部静脈に合流するレベルや形態は大伏在静脈に比べて変異が多く,手術法や予後にも影響を与えうるが,術前評価と手術結果を詳細に検討した報告は少ない.今回,われわれが行っているダブルルート造影法を用いた三次元CT venographyによる小伏在静脈瘤の術前評価および手術における有用性について検討し報告する.対象は,三次元CT venographyで術前評価し手術を行った小伏在静脈瘤15例,15肢(男性4例,50~80歳,平均66歳)である.CEAP分類はC2 : 3例,C3 : 4例,C4 : 6例,C5 : 2例であった.大,小伏在静脈に造影剤注入ルートを確保し(ダブルルート),10倍希釈の造影剤を同時注入しながらCTで撮影した.全例で下肢静脈を明瞭に描出でき,小伏在静脈の深部静脈合流部は膝関節後面の大腿骨顆間窩レベル以下で浅く走行する部位が11例(74%),深く走行する中枢側部分が4例(26%)であった.前者ではGiacomini veinを介し大伏在静脈に交通する症例や合流部直前で腓腹筋静脈が小伏在静脈に合流する症例が,後者では合流部直前で血栓を伴った限局拡張部や複数に分岐して深部静脈に流入する症例も診断できた.われわれの三次元CT venographyでは静脈の詳細な走行や合流部位,病的変化などを明瞭に描出することが可能で,全例術中所見で評価が正確であることを確認し得た.逆流の評価や手術用のマーキングには超音波が必須だが,正確な診断をもとに局所麻酔のみで手術を行うことができ,術中合併症や再発などによる追加処置の回避に有用であると考える.

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