日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
肺に被覆破裂し肺修復に難渋した巨大胸腹部大動脈瘤の1例
松村 仁和田 秀一藤井 満大住 真敬桑原 豪助弘 雄太峰松 紀年西見 優田代 忠
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2013 年 42 巻 5 号 p. 434-437

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抄録

症例は76歳,女性.5年前に他院にて大動脈弁閉鎖不全症およびそのさいの術中大動脈解離に対して,大動脈弁置換術および上行大動脈人工血管置換術が施行された.以後CT検査などの経過観察がされていなかった.2012年2月胸背部痛のため近医を受診し,CT検査にて最大径16 cm大の胸腹部大動脈瘤を認め,切迫破裂の疑いで当科紹介となり緊急手術施行となった.手術は左開胸,左心バイパス下で施行した.瘤壁は胸壁まで達し,肺と強固な癒着を認めた.肺と瘤壁の癒着部位に血管壁がなく,被覆破裂の所見であった.腹部四分枝再建を伴う胸腹部大動脈人工血管置換術を行ったが,肺瘻修復に難渋し,残存した瘤壁を使用し修復し得た.術後の経過は良好で,術後16日目軽快退院した.下行大動脈人工血管置換術後の肺瘻の残存は,感染や呼吸管理に難渋する原因となりうる.そのため治療戦略においてさまざまな工夫が必要とされる.本症例を中心に文献的考察を含めて報告する.

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