日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
開心術後に再膨張性肺水腫を発症し救命した2症例
金谷 知潤秦 広樹阪越 信雄
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2014 年 43 巻 3 号 p. 138-141

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抄録

症例1は54歳,男性.虚血性僧房弁閉鎖不全症の増悪のため,左室形成術・僧房弁輪縫縮術・冠動脈バイパス術を施行した.術後7日目のレントゲンで右胸水貯留を認めたため胸腔ドレナージを施行した.1,000 mlの胸水をドレナージし,2時間後に再膨張性肺水腫(reexpansion pulmonary edema : RPE)を発症した.陽圧換気による人工呼吸管理と利尿剤投与にてRPEは軽快した.症例2は83歳,男性.左房粘液腫に対して腫瘍摘出術を施行した.術後7日目のレントゲンで右胸水貯留を認めたため900 mlの胸水ドレナージを行った.ドレナージ10時間後にRPEを発症した.利尿剤,ステロイド治療を行ったが,翌日に急激な呼吸状態の悪化を認め,人工呼吸管理を開始した.短時間のうちに心肺停止となり,蘇生に成功するも低酸素血症は改善せず,経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support : PCPS)を挿入した.PCPSで酸素化が改善し,その2日後にPCPSを離脱し,人工呼吸管理離脱となった.RPEは短時間のうちに呼吸循環不全に陥り,致死的になることがあるため,適切な早期診断,早期治療とPCPS使用も躊躇しない積極的な治療が救命のポイントになると思われた.

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