日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
ペースメーカーリード感染に対する transvenous pacemaker lead extraction 施行後に生じた腕頭動静脈瘻
上能 寛之村田 紘崇藤原 祥司
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2014 年 43 巻 3 号 p. 142-145

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抄録

ペースメーカーリード感染に対するリード抜去術は近年レーザー装置等によるtransvenous pacemaker lead extraction法(TLE)が開発され,低侵襲化がはかられている.しかし,その手技には熟練を要し,また少なからず合併症の報告がされている.症例は26歳女性.4年前にBrugada症候群にて植え込み型除細動器(ICD)が植え込まれていた.術後3年頃よりICD留置部が哆開し感染を認めたため当院に紹介となった.TLEを施行したが,術後胸骨切痕部に振戦を伴った拍動性腫瘤が出現した.造影CT検査で腕頭動静脈間で動静脈瘻(arteriovenous fistula ; AVF)を形成しその瘤化を認めたため,手術を行う予定とした.しかし術当日早朝,胸骨切痕部から出血をきたしたため緊急手術を行い救命し得た.TLE後にAVFをきたした例は稀であり臨床経過とともに報告する.

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