抄録
患者は34歳女性.肺動脈閉鎖症/心室中隔欠損症(PA/VSD)に対する複数回の姑息手術,根治手術を経たのち,28歳時に,閉塞したPotts' shunt(体肺動脈シャント)の大動脈吻合部の仮性動脈瘤に対して,人工心肺下にパッチ閉鎖を施行した.その後外来にて経過観察中に,頻回の喀血による貧血が生じ,入院となった.精査にて,上記吻合部仮性動脈瘤の再発を認めた.患者はこれまでに正中開胸,左側方開胸とも2回以上施行しており,いずれのアプローチであっても癒着剥離に難渋することが予想されたため,左鎖骨下動脈のdebranchingを併用したTEVARを施行した.術後,喀血は消失し,術後8日目に自宅退院した.