日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
アスペルギルス性感染性心内膜炎に対し三尖弁置換術および長期抗真菌薬投与を行い救命し得た1例
土屋 博司野間 美緒西野 純史稲葉 雄亮遠藤 英仁窪田 博
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2015 年 44 巻 3 号 p. 151-154

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抄録
アスペルギルス性感染性心内膜炎(ASIE)は非常に稀だが,きわめて予後不良な疾患である.今回われわれはASIEに対し三尖弁置換術および,抗真菌薬の投与で救命し得た症例を経験したため報告する.症例は69歳の男性.自己免疫性疾患にてステロイドを内服中に,39度の稽留熱が出現したため入院となった.胸部CTにて両側肺野に広範囲な浸潤陰影を認め,血液検査よりアスペルギルス抗原が検出されたため侵襲型肺アスペルギルス症(invasive pulmonary aspergillosis/IPA)と診断し,ミカファンギンナトリウム(MCFG)を開始した.また心不全の悪化を認めたため心エコーを行うと,三尖弁前尖に直径8 mmの疣贅を認めたため,ASIEと確定診断しボリコナゾール(VRCZ)を追加した.しかし1週間後に直径20 mmで可動性ある疣贅に増大したため,薬剤抵抗性のASIEと判断し手術となった.手術は三尖弁前尖,前乳頭筋,内側乳頭筋の腱索,右心室肉柱に巨大な疣贅を認め,前尖は高度に破壊されていたため,生体弁で三尖弁置換術を施行した.術後の抗真菌薬は長期間のVRCZとMCFGを投与し,経過良好で第220病日で退院となった.VRCZの内服を終生継続し,ASIEの再燃は認めていない.ASIEの生存率の向上は迅速な外科的介入と,適切な抗真菌薬の投与が重要であると考えられた.
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