日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
冠動静脈瘻を伴う冠動脈瘤破裂の1手術例
神吉 佐智子垣田 真里禹 英喜佐々木 智康大門 雅広勝間田 敬弘
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2015 年 44 巻 4 号 p. 198-202

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抄録
左冠動脈回旋枝-冠静脈洞瘻に合併した直径50 mmの冠動脈瘤の破裂により,心タンポナーデをきたした1例を経験した.症例は83歳,男性.心タンポナーデを機に冠動静脈瘻と,それに伴う冠動脈瘤を初めて指摘された.冠動脈瘤破裂に対し緊急手術を施行した.冠動脈瘤を切開し内部を観察したところ,瘤からの流出血管が冠静脈洞に合流する直前で,その内腔に7×15 mm大の赤色血栓を認めた.これにより流出血管がほぼ完全に閉塞しており,瘤内圧の上昇をきたした可能性があった.瘤を切除し,流入および流出血管を縫合閉鎖した.術後経過は良好であった.冠動脈瘤破裂の一因として,瘤流出路血管の血栓閉塞を考慮する必要性を示唆する症例であり,未破裂冠動脈瘤の治療指針について再考を要する.
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© 2015 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
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