日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
症例報告
腎動脈下腹部大動脈 Shaggy Aorta Syndrome に対し人工血管置換術を施行した2例
池野 友基山田 章貴顔 邦男麻田 達郎
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 44 巻 4 号 p. 212-216

詳細
抄録

高齢化社会を背景に,動脈硬化性疾患であるShaggy Aorta Syndromeは本邦でも症例報告が散見されるようになってきたが,依然として診断,治療に一定の見解はない.今回当科にて経験した2症例について報告する.症例1は,75歳男性で腎動脈下腹部大動脈に限局したShaggy Aortaから,左膝窩動脈へのAcute Limb Ischemia(ALI)をきたした症例である.症例2は,維持透析中の76歳男性で,腎動脈下腹部大動脈のモバイルプラークを起源とするblue toe syndromeをきたした症例である.この2症例に対し,塞栓源の根治を目的に腹部大動脈人工血管置換術を施行し,術後1年以上再発なく経過している.腎動脈下腹部大動脈に限局したShaggy Aortaに対して再発防止のため人工血管置換術が有効であると考えられた.また,大動脈エコー検査が術前の診断ならびに術中の遮断部位の決定に有用であった.

著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top