2015 年 44 巻 6 号 p. 330-333
症例は37歳男性.眼間解離や短頭症などの身体的特徴からLoeys-Dietz症候群と診断した.De Bakey III b大動脈解離発症から3カ月後に遠位弓部大動脈の嚢状瘤で手術が必要となり,Valsalva洞拡大・偽腔開存大動脈解離に対する治療も併施した.手術は自己弁温存大動脈基部再建術・上行弓部大動脈人工血管置換術・オープンステントグラフト手術を行った.術直後から解離腔の血栓化・吸収が進み,CTで術後18カ月後までにステントグラフト部大動脈の縮小と偽腔の消失を認めて良好なAortic Remodelingを確認できた.結合織疾患を有する患者に対するステントグラフト治療は,より厳密な注意が必要であるが,Aortic Remodelingを促す有用な手技である可能性がある.