抄録
症例は40歳男性.胸痛で発症し,CT,心エコーで左冠尖の巨大バルサルバ洞動脈瘤が発見され当科入院となった.左冠動脈主幹部の軽度狭小化も認められた.重度大動脈閉鎖不全症を伴っており,破裂の危険性も考慮して準緊急手術を行った.手術は大動脈基部置換術を施行したが,人工心肺からの離脱困難であったため冠血流低下を疑い,冠動脈バイパス術を追加して血行動態の改善をみた.術後経過は良好であった.左冠尖に発生するバルサルバ洞動脈瘤は稀であるが,瘤拡大に伴う圧排による心虚血症状を伴うこともあり,早期の治療を要するものと思われた.