2016 年 45 巻 5 号 p. 247-250
症例は55歳男性.39歳時にStanford A型大動脈解離を発症し,上行弓部置換術を施行した.54歳時にStanford B型大動脈解離を発症し安静降圧治療を行ったが,遠位弓部大動脈の血管径が拡大したためB型解離発症1カ月後にエントリー閉鎖目的でステントグラフト(SG)内挿術を行った.術後半年までのCTでSG留置部に形態的な異常を認めなかったが,術後1年目のCTでSGが変形していることを認めたため追加治療を行った.SG変形に対してバルーン圧着を試みると,バルーン拡張に伴いSGは容易に正常形態へ矯正できたがバルーン拡張を止めると再度変形した.そこで矯正状態を保持するためにSGを追加した.追加治療後2年以上経過したがSGの再変形はない.TEVAR後遠隔期の合併症として非常に稀であるSG変形を経験したので報告した.