日本心臓血管外科学会雑誌
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総説(依頼)
本邦における心臓血管外科手術の現状:2015年,2016年の日本心臓血管外科手術データベースの検討
1. 先天性心疾患手術
平田 康隆平原 憲道村上 新本村 昇宮田 裕章髙本 眞一
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2019 年 48 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

[目的]日本心臓血管手術データベース(JCVSD)先天性部門は現在,参加施設数約120施設となって全国の施設をほぼカバーしている.今回,われわれは2015~2016年のデータを用い,頻度の高い20術式の死亡率と術後合併症の検討を行った.また,主な術式がどのような規模の施設によって行われているかの検討を行った.[方法]JCVSD先天性部門のデータから2015~2016年の先天性心疾患手術データを抽出し,20術式についての死亡率(90日または在院)および合併症率を算出した.また,施設の規模を年間人工心肺症例数によって3群に分類し,主な術式がどの群の施設によって行われているかの分布を算出した.[結果]心房中隔欠損閉鎖術,心室中隔欠損閉鎖術の在院死亡率は1%未満,ファロー四徴症手術,完全房室中隔欠損症修復術,大動脈縮窄複合修復術,ラステリ手術,両方向性グレン手術,フォンタン手術などの在院死亡率は2~4%程度と良好であった.ノーウッド手術,総肺静脈還流異常修復術などの在院死亡率は依然として10%以上であった.これら難易度の高い術式は大きな規模の施設において行われている傾向にあった.[結論]JCVSDの分析により,2015~2016年に本邦で行われた先天性心疾患の主な術式の死亡率ならびに合併症の頻度,施設分布などを明らかにした.

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