2019 年 48 巻 5 号 p. 316-319
悪性腫瘍およびそれに対する化学療法の合併症としての血栓塞栓症は近年増加しており,がん関連血栓症として注目されている.今回,悪性リンパ腫に対する化学療法開始直後に発症した左室瘤内血栓症に対して低侵襲手術を施行したので報告する.症例は54歳男性.42歳時に前壁心筋梗塞を発症し心尖部左室瘤を生じたため循環器科外来で抗凝固治療を継続されていた.胃リンパ腫に対する化学療法目的で血液内科に入院し初回抗がん剤投与施行後の心エコー検査で左室瘤内に径2.5cm大の可動性の高い血栓が出現したため左小開胸下での血栓摘除および左室形成術を施行した.術後回復は速やかで悪性リンパ腫治療の早期再開が可能であった.