2020 年 49 巻 4 号 p. 200-204
症例は56歳女性.心臓超音波検査にて,重症僧帽弁閉鎖不全症および僧帽弁前尖に疣贅様構造物の付着を認め,感染性心内膜炎と診断された.抗生剤加療開始となったが,抗生剤投与中に感染性脳動脈瘤破裂による脳出血を発症した.クリッピングを行い手術待機としていたが.突然の胸痛を認めた.心電図検査にてV1-V5のST上昇,心臓超音波検査にて前壁の壁運動低下および僧帽弁前尖の疣贅様構造物の縮小を認めた.塞栓による心筋梗塞が疑われ,緊急冠動脈造影検査を行った.左前下行枝#6の完全閉塞を認め,カテーテル吸引で疣贅様構造物を摘出し,狭窄が残存したためステント留置を行った.カテーテル治療中から血圧が低下しており,カテコラミンおよび大動脈バルンパンピング補助下でも血圧が保てなかったため,緊急で僧帽弁置換術を行った.術後は循環動態が改善し,リハビリののち自宅退院した.