2020 年 49 巻 4 号 p. 233-236
症例は84歳女性.既往に肺結核の加療歴があった.突然の喀血を来し当院救急外来を受診した.入院時の造影CTで気管支動脈肺動脈瘻(Bronchial-pulmonary artery fistula ; BPAF)を認めたため,気管支動脈塞栓術(Bronchial artery embolization ; BAE)を行ったが,その後も喀血を来した.造影CTで右冠動脈と気管支動脈の交通があり(coronary to bronchial artery communication ; CBAC),同部位に対してもコイリングを施行した.その後も気道出血を繰り返し,胸部大動脈ステントグラフト挿入術(Thoracic endovascular aortic repair ; TEVAR)目的に当科紹介となった.準緊急でTEVARを施行した(CTAG(28-28-10); Th5-10).その後,対麻痺や喀血を一度も認めることなく,第40病日に独歩自宅退院した.BAEで喀血の制御困難なBPAFに対してTEVARは有効であった.