2020 年 49 巻 6 号 p. 354-357
症例は71歳の女性.糖尿病と慢性腎不全の既往があった.僧帽弁形成術および三尖弁縫縮術の5カ月後に感染性心内膜炎を発症し僧帽弁置換術が施行された.術後心嚢ドレーンより300~600 ml/日の排液が続き,食事開始に伴って排液が乳白色に混濁したため縦隔乳び瘻と診断した.絶食と高カロリー輸液を2週間継続したほか,オクトレオチド皮下注を連日行ったが改善を認めなかったために,術後37日目にリピオドールによるリンパ管造影を施行した.左鼠経に局所麻酔を行いエコーガイド下にリンパ節を穿刺し12 ml/hの速度で約1時間リピオドールを持続注入した.術翌日よりドレーン量が減少し,施行9日目に心嚢ドレーンを抜去することができた.