日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
弁輪拡大を伴う外傷性大動脈弁閉鎖不全症に対し弁輪縫縮,自己心膜パッチにより大動脈弁形成を施行した1例
有村 聡士中尾 充貴西岡 成知松村 洋高儀武 路雄長堀 隆一坂東 興森田 紀代造國原 孝
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2020 年 49 巻 6 号 p. 358-361

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抄録

症例は無症状の20代男性,6年前に自転車事故による胸骨骨折の既往あり.健康診断で心雑音を指摘されたことを契機に精査を行い,左室拡大を伴う重症大動脈閉鎖不全症と診断された.心エコー検査では大動脈弁は三尖で無冠尖の弁輪付着部に15 mm大の穿孔所見を認め,同部からの逆流を認めた.Valsalva洞以遠は正常径であったが大動脈弁輪径のみ29.6 mmと拡大していた.術中所見では無冠尖の弁輪付着部に直径15 mmの穿孔を認めた.同部位に0.6%グルタールアルデヒドで処理した自己心膜パッチを縫着し穿孔部を閉鎖した.弁輪拡大に対しては弁輪縫縮(external suture annuloplasty)を行った.術3カ月後の心エコーでは大動脈弁閉鎖不全は良好に制御されており,左室リバースリモデリングも得られていた.外傷性と考えられる大動脈弁閉鎖不全症に対し,パッチ形成と弁輪縫縮で弁温存が可能であった症例を報告する.

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