2020 年 49 巻 6 号 p. 370-374
胸部大動脈人工血管置換術後の仮性瘤,さらに頸動脈共通幹吻合部の仮性瘤を発症した稀な症例を経験したので報告する.症例は53歳,男性,Marfan症候群の患者.異所性右鎖骨下動脈を合併したA型解離に対して以前三期的に大動脈基部から下行大動脈まで人工血管置換および弁置換を行った.弓部置換から2年後,嗄声を主訴に受診し,CTで左右総頸動脈共通幹の吻合部仮性瘤を指摘された.準緊急で右腋窩-総頸動脈バイパスおよび吻合部へのステントグラフト内挿術を行った.頸部バイパスおよびステント操作はいずれもシャントは用いず単純遮断下に行った.術後は脳合併症等なく自宅退院した.