日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
高度肺高血圧症を伴う完全大血管転位症に対し一酸化窒素吸入療法が有効であり遠隔期に Senning 手術に至った1例
山田 有希子山本 隆平鹿田 文昭岡村 達竹内 敬昌
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2021 年 50 巻 4 号 p. 240-243

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抄録

症例は完全大血管転位症の男児で,頭蓋内出血と左室流出路狭窄のために適正時期である新生児期に大動脈スイッチ手術を施行できず,低酸素血症に対して生後5カ月時に姑息的にBlalock-Taussig手術を行った.しかしその後肺高血圧症が進行し,感染をきっかけに体肺短絡の右左シャントを生じるという稀な病態を生じた.右鎖骨下動脈に吻合したシャントのため,右上肢のSpO2と左上肢および下肢SpO2とに乖離を認めた.治療は感染症治療とともに昇圧剤で体血圧を上げ,肺高血圧症に対して酸素投与と一酸化窒素(NO)吸入療法を行い改善した.体血圧を超える高度肺高血圧症に対してもNO吸入療法は有効であり,またハイフローセラピーによるNO吸入も有用であった.その後1歳でSenning手術へ至ることができたため,報告する.

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