日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
成人期に診断された部分肺静脈還流異常症に対し手術治療を行った1例
西 俊彦山﨑 武則
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2021 年 50 巻 4 号 p. 248-251

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抄録

部分肺静脈還流異常症の多くは心房中隔欠損症を合併する.今回われわれは成人期に発見された心房中隔欠損症を合併しない部分肺静脈還流異常症に対する手術例を経験したので報告する.症例は44歳男性,喀血を主訴に当院を受診した.検査の結果,左肺動脈欠損症により異常に発達した気管支動脈が喀血の原因であると判明し,気管支動脈塞栓術を施行した.その後の精査で右上肺静脈が上大静脈に還流する部分肺静脈還流異常症(Qp/Qs 3.33)および大動脈弁閉鎖不全症と診断した.喀血による緊急入院から約2カ月後にWarden変法,大動脈弁置換術を施行した.術後CTにて上大静脈および右上肺静脈の再建形態は良好であり,術後38日目に独歩退院した.

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