2021 年 50 巻 4 号 p. 287-290
症例は50歳男性.4年前,急性A型大動脈解離に対し,他院で緊急上行大動脈置換術+冠動脈バイパス術が実施された.術後からLDH高値とヘモグロビンの低下が遷延し,術1年後に前医血液内科にて溶血性貧血と診断された.頻回な輸血を要し,前医から手術実施施設へ因果関係を照会されたが診断がつかず,当科へ紹介となった.造影CTの結果,上行大動脈人工血管に110度の高度屈曲を認め,溶血の原因と考えられた.カテーテル検査で同部位圧較差は60 mmHgであった.屈曲解除と遺残偽腔の血栓閉塞を期待して,再上行大動脈置換術+全弓部置換術+frozen elephant trunk手術を施行した.術後経過は良好で溶血は消失した.人工血管の高度屈曲は溶血の原因となり得るため注意が必要である.