膵臓
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特集:膵炎研究モデルの作製,選択,適用
膵疾患研究におけるヒト膵由来腺房周囲筋線維芽細胞の意義
西田 淳史安藤 朗藤山 佳秀
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2008 年 23 巻 1 号 p. 42-45

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抄録

膵線維化の研究は,膵星細胞の単離,培養系の確立により,大きな進歩をとげた.膵星細胞を用いた研究は,動物膵(主にラット)由来の細胞を用いる場合とヒト膵由来の細胞を用いる場合がある.ヒト由来の細胞を用いる利点として,よりヒトの生体内応答を反映できると考えられること,抗体や測定系の入手が容易なこと,ゲノム解析が終了しており遺伝子解析のストラテジーがたてやすいことなどがあげられる.ここでは,Interleukin(IL)-1βによりヒト膵由来筋線維芽細胞に誘導される遺伝子群のDNAチップを用いた解析結果と現在研究中のIL-32の産生誘導について述べる.IL-32は最近報告された炎症性サイトカインの一つで,Tumor necrosis factor(TNF)-αがヒト膵筋線維芽細胞からIL-32を強力に誘導することを見いだした.一方,IL-32自身がTNF-α誘導因子として報告されていることから,TNF-αとIL-32からなるサイトカインカスケードが急性膵炎や慢性膵炎の病態の形成に関与している可能性が示唆される.

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© 2008 日本膵臓学会
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