2021 年 50 巻 6 号 p. 374-377
症例は81歳,男性.非弁膜症性心房細動に対し,左心耳閉鎖デバイスを用いた経皮的左心耳閉鎖術を施行された.左心耳でデバイスを展開した直後に心タンポナーデによるショック状態となったため,経皮的心肺補助装置を導入し心嚢ドレナージ術を施行された.しかし,持続的出血のため止血困難と判断し緊急開心術を行った.左心耳よりデバイスの一部が露出し損傷していたため左心耳切除術を施行し,さらに経中隔アプローチで左房内から左心耳の縫合閉鎖を追加し確実な止血を得て救命に至った.デバイスを用いた経皮的左心耳閉鎖術による合併症の発生率はかなり低率ではあるが,合併症が発生した場合に備えてハートチームによる迅速な対応をできる体制を確保しておくことが重要である.