日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
左肋間小開胸,内視鏡補助下に胸部下行大動脈内血栓摘出術を行った1症例
田島 隆弘迫 秀則髙山 哲志岡本 啓太郎内田 かおる宮本 伸二
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2021 年 50 巻 6 号 p. 401-404

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抄録

症例は64歳男性,右下腿の疼痛と運動麻痺が出現し,右下肢急性動脈閉塞症の診断で当院紹介となった.造影CTで右膝窩動脈以下の完全閉塞所見と,近位下行大動脈に結節状の血栓を認めた.心房細動を認めていたが,血液検査では凝固系異常を来しうる基礎疾患は認めなかった.血栓塞栓症再発の危険性があったため,大腿動脈-大腿静脈バイパス(F-F bypass)による部分体外循環,内視鏡補助下に約10 cmの左第5肋間小開胸で近位下行大動脈内血栓摘出術を施行した.病理所見で血栓と確定診断され,同時に採取した大動脈壁の内膜にアテローム変性を認めた.術後は合併症なく経過し,義肢を作製し自宅退院となった.直接経口抗凝固薬(アピキサバン)と抗血小板薬(アスピリン)を継続し,術後2年間再発なく経過している.

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