日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
TF-TAVI 術中の逆行性 Stanford A 型大動脈解離に対するトラブルシューティングが奏功した1例
横山 昌平柚木 継二佐伯 宗弘成宮 悠仁山根 尚貴吉田 賢司立石 篤史大島 祐久持 邦和吉田 英生
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2021 年 50 巻 6 号 p. 397-400

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抄録

症例は77歳女性.これまで5度のpercutaneous coronary intervention(PCI)を施行されている.運動耐用能の低下を認め心臓超音波検査を行ったところ,severe aortic stenosis(AS)が増悪傾向にあり心不全の悪化を認めた.ステロイドユーザーでもあり,ハートチームで症例検討を行ったところ,ハイリスク症例であることからpercutaneous cardiopulmonary support(PCPS)使用下で経大腿(TF)-transcatheter aortic valve implantation(TAVI)を行う方針とした.PCPSの送血管は右鎖骨下動脈に留置し,脱血路は左大腿静脈に留置した.送血開始後に送血圧の上昇を認め,経食道超音波(TEE)で確認すると右腕頭動脈解離を起源とする逆行性Stanford A型大動脈解離を認めた.これまでハートチームでTAVI中の合併症に対するシミュレーションを重ねており,チーム内でイメージが共有できていたため,経心尖(TA)-TAVI conversionを即座に判断し,かつTAルートを使用しエントリー閉鎖を施行した.術後は大きな問題なく経過し,現在外来で経過観察中である.合併症に対するシミュレーションをチーム全体で重ねることで,スムーズかつ安全にトラブルシューティングを行うことが可能である.

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