日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
新生児期に異所性動脈管絞扼を先行し,Fallot 四徴症心内修復術に達した Cornelia de Lange 症候群の1例
田中 啓輔片山 雄三磯部 将川田 幸太布井 啓雄原 真範益原 大志塩野 則次藤井 毅郎渡邉 善則
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2022 年 51 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

症例は1歳7カ月女児.在胎36週6日,体重1,351 gで出生.Cornelia de Lange症候群・Fallot四徴症の診断に加え,大動脈弓小弯側から主肺動脈へのシャント血流が確認され,異所性動脈管開存と診断.頭部超音波検査で前大脳動脈の拡張期血流の途絶と逆行性血流を呈することから,異所性動脈管による盗血現象と診断し,日齢25で外科治療介入.手術は胸骨正中切開でアプローチし,シャント血管を結紮すると,経皮的酸素飽和度が90%台後半から70%台前半へと低下するため,いったん結紮を解除.80%台後半を維持できるように絞扼し,手術を終了した.術後頭部超音波検査で前大脳動脈圧波形改善を認めた.外来観察中に体重増加に伴う酸素需要増大を認め,1歳7カ月に1弁付きパッチを用いた心内修復術を施行した.希少な背景を有するファロー四徴症に合併した異所性動脈管開存に対し,動脈管絞扼を先行し心内修復術に達した1例を経験したので報告する.

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