2022 年 51 巻 2 号 p. 114-117
症例は68歳女性.僧帽弁閉鎖不全症に対して24歳時に弁形成術を受けたが,逆流再発のため30歳時にBjörk-Shiley convexo-concave(BSCC)弁を用いた僧帽弁置換術を受けていた.その後長期に無症状であったが,術後38年に労作時息切れと溶血性貧血を認め,精査の結果,弁葉開放不全による狭窄と弁周囲逆流(PVL)による溶血と診断した.再手術を行うと人工弁左室側で全周性に石灰化したパンヌスによる弁葉開放制限,高度に石灰化した縫合部位の離開がありPVLを生じていた.CUSAを用いて石灰化した弁輪組織を除去したのち,異種心膜で弁輪を補強した再弁置換術を行い良好な結果を得た.