2023 年 52 巻 1 号 p. 1-4
症例は70歳の女性.生直後より房室中隔欠損症を指摘されるも手術加療は行われなかった.今回心不全症状が出現し,加療目的に当院へ紹介となった.不完全型房室中隔欠損症(肺体血流比 4.46,中等度の左側房室弁逆流,心房粗動の診断となった.術中診断は膜様の心室中隔瘤を伴う中間型房室欠損症で,自己心膜パッチによる房室中隔欠損孔の閉鎖,左側房室弁形成術,右側房室弁形成術,不整脈手術を施行した.術後は心不全症状なく経過し,術後16日目に当科退院となった.本邦で高齢者の不完全型/中間型房室中隔欠損症の手術報告例は少ない.しかし,不完全型/中間型房室中隔欠損症は加齢とともに2次性変化により,心房細粗動や心不全などを発症する.外科治療成績は良好で運動耐容能の改善が期待されるため,高齢者であっても積極的に適応評価,外科的介入を行うべきだと考えられる.