2023 年 52 巻 3 号 p. 193-196
症例は17歳男性.MCT-8欠損症による脳性麻痺,重度精神運動発達障害があり,10歳時に気管切開術を施行されていた.気管切開孔から大量出血を来たし,前医へ救急搬送された.造影CTで気管腕頭動脈瘻と診断し,緊急で腕頭動脈へのカバードステント留置にて止血した.1カ月後に再出血を認め,再度カバードステント留置にて止血した.再出血や感染のリスクがあるため,根治的手術目的に当科へ紹介となった.手術は左第3肋間レベルL字型胸骨部分切開にて縦隔内へアプローチし,腕頭動脈離断術を施行した.新規の神経学的後遺症や縦隔洞炎を認めず,術後25日目に転院した.術後2年10カ月を経過して再出血や感染を認めていない.気管腕頭動脈瘻は再出血や感染,神経学的後遺症を予防するための治療戦略を立て,可及的早期の外科的治療に踏み切ることが重要である.