2024 年 53 巻 1 号 p. 10-15
60代男性.連続性雑音精査目的の冠動脈CT検査で主肺動脈前面に肺動脈瘻を伴う18 mmの,側面に10 mmの冠動脈瘤を認めた.右バルサルバ洞と左前下行枝から起始する異常流入血管が主肺動脈周囲で複雑なネットワークを形成していた.冠動脈瘤は嚢状であり瘤破裂予防のため,また冠動脈肺動脈瘻は無症候性であるものの将来的な心不全や塞栓症,心筋虚血を予防する目的で手術適応と判断した.外科的瘻孔・瘤閉鎖術と経皮的塞栓術によるハイブリッド治療の方針とした.手術は胸骨正中切開,人工心肺下に行った.心拍動下に右バルサルバ洞から起始する異常血管を結紮した.次に心停止とし,主肺動脈前面の冠動脈瘤を切開して瘻孔を閉鎖し,またその流入血管を結紮して瘤を縫縮閉鎖した.左前下行枝から起始する異常血管および主肺動脈側面の冠動脈瘤は左前下行枝に近いことから損傷のリスクを懸念し後日経皮的コイル塞栓術を行った.術後のCT検査で冠動脈瘤や異常血管の遺残は認めなかった.ハイブリッド治療は両治療法の合併症リスクを低減させ,かつ確実な瘻孔・瘤閉鎖を得るために有用な方法であると考えられた.