日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
症例報告 [先天性疾患]
Sandwich法による心室中隔欠損孔閉鎖,大動脈弁置換術,三尖弁置換術を行った感染性心内膜炎の1例
佐々木 花恵小渡 亮介板谷 博幸村田 賢祐大徳 和之皆川 正仁
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 53 巻 3 号 p. 91-94

詳細
抄録

症例は74歳男性で,診断は大動脈弁位と三尖弁位の感染性心内膜炎,心室中隔欠損症,完全房室ブロックである.発熱と頸部痛を主訴に前医に入院し,経過中に完全房室ブロックを発症した.心エコー検査で重症大動脈弁逆流,大動脈弁の疣贅と心室中隔欠損症を指摘されて当院へ搬送され,同日緊急手術が行われた.大動脈弁尖は石灰化して肥厚しており,高度な弁尖破壊を伴っていた.疣贅は一部右冠尖と無冠尖の弁下まで及んでいた.疣贅は心房中隔から心室中隔欠損孔,三尖弁まで伸展していた.ウシ心膜パッチ2枚を用いたsandwich法による中隔再建後に大動脈弁置換術,三尖弁置換術を行った.術後は6週間の抗生剤加療が行われ,ペースメーカー植え込み術後に自宅退院した.心エコー検査で残存シャントは見られなかった.本症例の経験から,広範に心室中隔が破壊された感染性心内膜炎に対し,sandwich法は有用な中隔再建法の1つであると考えられた.

著者関連情報
© 2024 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top