症例は74歳男性で,診断は大動脈弁位と三尖弁位の感染性心内膜炎,心室中隔欠損症,完全房室ブロックである.発熱と頸部痛を主訴に前医に入院し,経過中に完全房室ブロックを発症した.心エコー検査で重症大動脈弁逆流,大動脈弁の疣贅と心室中隔欠損症を指摘されて当院へ搬送され,同日緊急手術が行われた.大動脈弁尖は石灰化して肥厚しており,高度な弁尖破壊を伴っていた.疣贅は一部右冠尖と無冠尖の弁下まで及んでいた.疣贅は心房中隔から心室中隔欠損孔,三尖弁まで伸展していた.ウシ心膜パッチ2枚を用いたsandwich法による中隔再建後に大動脈弁置換術,三尖弁置換術を行った.術後は6週間の抗生剤加療が行われ,ペースメーカー植え込み術後に自宅退院した.心エコー検査で残存シャントは見られなかった.本症例の経験から,広範に心室中隔が破壊された感染性心内膜炎に対し,sandwich法は有用な中隔再建法の1つであると考えられた.