2024 年 53 巻 6 号 p. viii-xiv
薬物療法では効果が不十分な重症心不全,心原性ショックの患者を救命するためには,一時的あるいは恒常的に心臓のポンプ作用の補助または代行を機械的に行う補助循環治療が必要になる.植込型補助人工心臓の登場により,わが国における重症心不全に対する治療戦略は大きく変わった.しかし急性の心不全・心原性ショックに対する初期治療としてのIABP(intraaortic balloon pumping),ECMO(extracorporeal membrane oxygenation, もしくはpercutaneous cardiopulmonary support[PCPS])の重要性は変わっておらず,今後も変わらないと思われる.2017年より,わが国においても循環補助用心内留置型ポンプカテーテルのIMPELLAの臨床使用が可能となり,これにより急性心不全に対する補助循環治療戦略もさらなる広がりをみせている.ECMOおよびIMPELLAの周術期管理について概説する.