2025 年 54 巻 4 号 p. 191-194
症例は81歳,女性.最大短径33 mmの内胸動脈瘤を認め,加療目的で当科紹介となった.血管内治療の適応と判断し,大腿動脈アプローチによるコイル塞栓術を試みた。しかし,瘤内の壁在血栓にカテーテルが迷入し,流出血管への到達が不可能であったため,血管内治療を断念した.その後,内胸動脈瘤の流出血管のコイル塞栓術を行うために,Chamberlain法(傍胸骨横切開)で内胸動脈を外科的に露出した.露出した内胸動脈を直接穿刺し逆行性アプローチで内胸動脈瘤の流出血管に対してコイル塞栓術を施行した.さらに,内胸動脈瘤への流入血管に対しては左上腕動脈アプローチからコイル塞栓術を行うhybrid手術を行った.術後CTでは内胸動脈瘤の完全血栓化を認め,退院後のfollow-up CTでは内胸動脈瘤の縮小を認めている.内胸動脈瘤に対してChamberlain法(傍胸骨横切開)による内胸動脈への直接アプローチは,開胸操作を要さないため高齢者や耐術能に乏しい症例に対して有効であると考え,文献的考察を交えて報告する.