日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
ハイリスク症例における閉鎖切開陰圧療法を用いた開心術後手術部位感染症予防効果の検討
今田 涼大野 文也山下 雄史永冨 脩二立石 直毅峠 幸二金城 玉洋
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2026 年 55 巻 2 号 p. 41-46

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抄録

[目的]開心術後の手術部位創部感染(surgical site infection: SSI)発生率は1~10%と報告されている.特に深部胸骨感染(Deep sternal wound infection: DSWI)は,入院期間の延長による患者のQOLの低下や医療費の増大に加え,死亡率も高く重篤な合併症である.SSI予防のためにさまざまな方法が報告されているが,SSIハイリスク症例においてSSI予防目的に手術閉鎖創に対する閉鎖切開陰圧療法(ciNPT: closed incision Negative Pressure Therapy)が本邦で2021年4月より保険適応となった.当院ではciNPTを2021年7月から導入し,適応のある患者には積極的に使用している.本研究ではSSIハイリスク症例において,ciNPTによる開心術後のSSI予防効果について検討することを目的とした.[方法]2020~2022年に施行した胸骨正中切開を伴う開心術のうち,SSIハイリスク患者306例を対象とした.ハイリスク患者は,高度肥満(BMI≥30),HbA1c≥7.0%の糖尿病,両側内胸動脈採取,慢性維持透析,ステロイド内服,免疫抑制剤内服,8時間以上の長時間手術,再手術,創傷治癒を阻害しうる皮膚疾患,活動性感染性疾患のうち1つでも満たす症例と定義した.標準ドレッシング剤を使用したControl群(145例)とciNPTを用いたciNPT群(161例)に分類し,術後30日以内のSSIやそのリスク因子について統計学的検討を行った.[結果]総SSI (ciNPT群5例vs control群:12例;p=0.04)は有意に減少を認めた.表層SSI(ciNPT群3例vs control群:4例;p=0.71),DSWI (ciNPT群2例vs control群8例;p=0.05)は有意差を認めなかったものの,減少傾向を認めた.多変量解析ではciNPTがSSIの予防因子であり,SSI発生率を73.2%減少させた(オッズ比0.268;95%信頼区間0.081~0.891).[結語]SSIハイリスク患者に対するciNPTはSSIを減少させる可能性が示唆された.

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