2026 年 55 巻 2 号 p. 52-56
ペースメーカーの右心室リードは三尖弁に直接干渉するため大小必ず弁逆流の原因となる.よってリードの移植後は三尖弁の状態を十分に観察していく必要がある.以前は心尖部への植え込みが一般的であったが近年心室中隔方向への植え込みが推奨されており,なお弁尖への影響が心配される.症例によりリードの走行が異なるため弁尖への影響もさまざまである.手術においては心内膜リードを心外膜リードへ変更し三尖弁置換術を行うという考え方もあるが,心外膜リードがMRIに対応していないこと,三尖弁置換術の成績が不良であることを考慮するとリードを温存したま形成術を行うことが望ましい.今回われわれはリードによる弁尖への干渉と右心室の拡大によるtetheringが原因の重度三尖弁閉鎖不全症症例に対しlead fixation法およびspiral suspension法を用いて形成術を行い良好な結果を得た.複雑な三尖弁病変に対しても術式を工夫し形成術を完遂することが大切である.