高齢者における重症二弁疾患は,外科的侵襲によるADL低下のリスクから治療に難渋することが多い.本症例では段階的低侵襲治療Balloon aortic valvuloplasty(BAV),Totally endoscopic mitral valve plasty (MICS-MVP),Transcatheter aortic valve implantation(TAVI))により良好な結果を得たため報告する.症例は86歳女性.近医で弁膜症を指摘され経過観察中,呼吸困難と喘鳴を主訴に紹介された.経胸壁心エコー検査で腱索断裂を伴う後尖逸脱による重症僧帽弁閉鎖不全症および高度石灰化を伴う重症大動脈弁狭窄症を認めた.内科的治療では心不全の改善が得られず,段階的低侵襲治療を選択した.入院4日目にBAVを施行し症状改善を認めた.つづいてMICS-MVPを施行し,退院3カ月後にTAVIを行い治療を完遂した.術後合併症なく経過し,いずれの治療後も早期離床が可能でADL低下なく自宅退院となった.重症二弁疾患に対する段階的低侵襲治療は,高齢者のADLを維持しつつ安全に治療を完遂できる有用な選択肢である.