2026 年 55 巻 4 号 p. 190-193
症例は78歳,女性.二尖弁による重症大動脈弁狭窄症および上行大動脈拡大に対し,大動脈弁置換術および上行大動脈置換術を施行した.術後7カ月頃より胸部正中創の治癒遅延と漿液性滲出液を認め,胸骨ワイヤー抜去,陰圧閉鎖療法,骨デブリドマン,大胸筋皮弁術などの局所治療を行ったが改善を認めなかった.創部培養および血液培養はいずれも陰性であり,術前CTでは人工血管周囲に液体貯留を認めたことから,perigraft seroma(PGS)が病態の主因と判断した.再人工血管置換術は高侵襲であり,また大網充填は胃癌術後で大網切除が施行されていたため使用不可であった.人工血管からの滲出制御を目的として上行大動脈へのrelining thoracic endovascular aortic repair(TEVAR)を施行した.GORE Excluder Aortic Extenderを用いて人工血管内に留置した.術後,創部滲出液は大幅に減少し,外来での管理が可能となった.