日本心臓血管外科学会雑誌
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重症弁膜症に対するelective IABPの当科における適応基準
益子 健男松井 道彦佐々木 達海宮沢 総介古川 仁鈴木 和彦望月 吉彦新井 達太
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1990 年 19 巻 6 号 p. 1121-1123

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抄録

IABPは心機能低下例に対する有効な補助手段として広く臨床に用いられている.しかしながら,現在までのところ計画的使用としてのelective IABPに関して各弁膜症別の適応基準はなく,ただ慢然と重症例に対して行われている感がある.そこで,われわれは心筋保護法のほぼ安定した1983年以降の弁膜症に対する開心術においてIABP使用(25例),非使用(94例)例について術前左室機能からelective IABPの適応基準を作成すべく検討を試みた.検討項目はLVESVI, LVEF, LVEDPとした.これらの結果からMRではLVESVI≥120ml/m2, LVEF≤0.4, LVEDP≥21mmHg, ARではLVESVI≥135ml/m2, LVEF≤0.4, LVEDP≥18mmHg, MSではLVESVI≥130ml/m2, LVEF≤0.35, LVEDP≥18mmHg, ASではLVESVI≥70ml/m2, LVEF≤0.35, LVEDP≥23mmHg,のいずれかを満たす場合にelective IABPの適応と考えられた.

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