抄録
ブタを用い両心不全モデルを作成し,right ventricular assist device (RVAD)の流量を増加させたときの左心系の動向について検討した.RVADを適用した第1群では駆動陽圧が120mmHgを越えると,補助率は50%以上となり,LAPの上昇,AoP, LVmax dp/dtの低下,LVEDPの上昇をきたし左心不全の増悪を認めた.これに対しbiventricular assist device (BVAD)を適用した第2群では,left ventricular assist device (LVAD)の併用によりPAP, LAPは低下し,右室後負荷および左室前負荷を軽減させることで左心不全を改善し,全身循環を良好に維持することが可能であった.右心不全に対しRVADの高流量補助を行う場合,その左心機能に留意することが重要で,左心不全が合併する場合には積極的に左心補助手段(IABPおよびLVAD)を併用すべきであると思われた.