膜様部および漏斗部孤立型心室中隔欠損症 (VSD) 104例中, 大動脈弁逸脱17例, 大動脈弁逆流 (AR) 10例を認めた. 症例の病態および手術成績から逸脱およびARの発生機序と手術適応について検討した. 術前では逸脱・AR群では大動脈弁正常群に比して, 左-右短絡率, 肺体血流比は小で, 術中計測によるVSD径も大動脈弁正常群よりも小であり, 大動脈弁逸脱, ARの発生における血流作用の関与が示唆された. 手術は27例中4例に弁形成術, 1例に弁置換術, 22例にVSD閉鎖のみを行った. ARは10例中3例で術後残存した. 術前AR I度の7例中6例は術後にARが消失したが, AR II度の2例では共にI度のAR残存がみられた. それ故, 術前の注意深い経過観察とAR発症前の早期手術が重要と考えられた.