日本心臓血管外科学会雑誌
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成人動脈管憩室動脈瘤の1手術治験例
堤 泰史大中 正光大橋 博和高橋 政夫田中 孝
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1992 年 21 巻 1 号 p. 78-81

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抄録

症例は69歳男性である. 以前より高血圧を指摘されていたが, とくに症状なく経過していた. 1990年7月になり, 嗄声が出現し, 耳鼻咽喉科にて声帯ポリープと診断され治療を受けるも軽快せず, 呼吸器内科にて弓部大動脈瘤を疑われ当科紹介となった. 胸部レントゲン像では左第1弓と左肺門の間に突出する異常陰影を認め, CT, DSA, 大動脈直接造影所見を総合し, 動脈管憩室動脈瘤が疑われた. 手術は胸骨正中切開にて行われ, 右房脱血, 右大腿動脈送血で部分体外循環とし, 左総頸動脈と左鎖骨下動脈との間で遮断, さらに鎖骨下動脈および下行大動脈を遮断した. 瘤は直径約45mmで肺動脈と索状物で繋がっており, 動脈管靱帯と考えられた. 瘤切開後, 大動脈側開口部をパッチ閉鎖し手術を終了した. 経過は順調である. 本邦での手術例の報告は未だ少なく, 貴重な1例と考えられるので報告した.

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