日本心臓血管外科学会雑誌
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房室弁位 Duromedics 弁の遠隔成績
血栓弁に対する治療を中心に
佐々木 昭彦安倍 十三夫深田 穰治田口 晶塚本 勝木村 希望山田 修数井 暉久小松 作蔵
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1992 年 21 巻 3 号 p. 217-222

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抄録

1985年3月より1988年5月までに, 当科で Duromedics (D-M) 弁を用いて, 房室弁位の86症例に92個の弁置換術を施行した. 今回は, 遠隔期の問題点, とくに血栓弁について検討した. 累積追跡期間は313.6患者・年で, 早期死を含む実測生存率は術後6年で83.4±4.1%であった. 弁由来の合併症は, 末梢性塞栓症3例 (1.0%/患者・年), 血栓弁7例 (2.2%/患者・年), 出血, 弁周囲逆流各1例 (0.3%/患者・年) で, 弁由来の全合併症は12例 (3.8%/患者・年) であった. 弁由来の合併症に対する再手術は, 血栓弁の5例 (1.6%/患者・年) にのみ施行した. 僧帽弁位4例, 三尖弁位3例の計7例に血栓弁をみ, 血栓弁の event free rate は術後6年で89.1±4.0%であった. 血栓弁は三尖弁位で高率に発症し, その使用に問題を残した. また, 二葉弁では, 一葉のみの開閉障害の時期に, 早期に外科治療を施すべきと考えた.

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