抄録
内腸骨動静脈瘻を伴った反射性交感神経性萎縮症はきわめてまれである. 症例は36歳, 女性. 既往歴に左卵巣腫瘍摘出術がある. 入院6か月前に腰椎椎間板ヘルニア根治術を受けた. 術前に訴えていた腰部から右大腿のしびれ感, 疼痛は消失した. しかし, 術後2週間目より右足背, 右足底の冷感, しびれ感が出現した. 症状は次第に増強し, 右下肢にチアノーゼをきたすようになった. 血管造影では左内腸骨動静脈瘻を認めたが, 右下腿動脈には異常なかった. 指尖容積脈波では右下肢波高の低下を認めた. 5%カルボカイン5ml硬膜外注入で右下肢指尖容積脈波高は著明に増高した. 左内腸骨動静脈瘻閉鎖術と同時に右腰部交感神経切除を施行した. 術後症状は改善し, 軽快退院した.