抄録
心室中隔欠損症 (VSD), 心房中隔欠損症 (ASD), 動脈管開存症 (PDA) を合併したいわゆる triple shunts の3手術例を経験した. 3例とも乳児期早期から鬱血による呼吸不全および不全状態を示し, 2例では一期的根治術を, 手術時体重が1,700gの1例では動脈管結紮術を行った. 3つの短絡を術前に診断しえたのは1例だけで, 他の2例はVSDとPDAの診断が得られず, 術中に確認した. 予後は, 動脈管結紮だけを行った例を進行する心不全のため失ったが, 一時的手術を行った2症例では術後管理に難渋したものの良好な結果を得た. Triple shunts 症例に対し, 一期的手術が推奨されるが, 手術時体重が少ない例や, 他の合併奇形がある場合は, 二期的手術も考慮する必要があると思われた. また, 術前の臨床症状と, 診断との間に血行動態上の大差が推測される場合は, 術中に確認することが大切であると考えられた.