日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
僧帽弁狭窄症における左房内血栓形成例の検討
筒井 達夫海野 英哉厚美 直孝軸屋 智昭榊原 謙岡村 健二三井 利夫堀 原一
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 22 巻 2 号 p. 97-102

詳細
抄録
僧帽弁狭窄症における血栓形成要因を検討した. 左房内血栓群の左房径は平均値61.2mmであり, 非血栓群の46.4mmと比較し有意に大であった. また, 左房内血栓群と非血栓群とで, 術前の心拍出量を比較すると, それぞれ3.04l/min, 3.99l/minであり, 左房内血栓群の心拍出量は非形成群よりも有意に小さい傾向が認められた. 左房容積と心拍出量とから, 血流の左房平均通過時間 (MTTLA) を算出し比較した. その結果, 血栓形成群のMTTLAは6.2secであり, 非形成群の2.9secと比較して有意に延長しており, 左房内血流うっ滞の程度がより大きいと考えられた. したがって, 僧帽弁狭窄症においてMTTLAの延長は左房内血栓形成のリスクと考えられる.
著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top