日本心臓血管外科学会雑誌
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大動脈, 腸骨動脈領域の下肢閉塞性動脈硬化症に対する非解剖学的バイパス術の成績
林 載鳳浜中 喜晴末田 泰二郎松島 毅辻 勝三渡橋 和政呑村 孝之森田 悟香河 哲也松浦 雄一郎
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1993 年 22 巻 4 号 p. 345-347

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抄録

1987年4月から1992年3月までの5年間に広島大学第1外科で大動脈, 腸骨動脈領域の閉塞性動脈硬化症に対し人工血管バイパス術を施行した51症例を, 非解剖学的バイパス術を施行したEAB群18例と, 解剖学的バイパス術を施行したAB群33例に分け, retrospective に両群の比較を行った. 背景因子の検討では, EAB群の平均年齢はAB群よりも約10歳高齢で, 症状的には Fontaine 分類III, IV度の重症例が多く, 腎機能と肺機能もEAB群が劣っており, 脳梗塞等の合併症もEAB群で高かった. PGE-1製剤を術前術後にわたって長期間使用すること, 全身麻酔下に良好な視野を得て手術を行うこと, 末梢側病変に対しては全例同時血行再建手術を行うこと, externally supported external velour knitted Dacron 人工血管を使用すること等をルーチンに行っているが, 5年間に閉塞例を1例も認めていない. EAB群でもAB群に劣らない手術成績を得たので報告した.

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