日本心臓血管外科学会雑誌
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80歳以上の高齢者に対する冠動脈バイパス術の経験
荻野 均山里 有男花田 正治中山 正吾
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1993 年 22 巻 5 号 p. 446-450

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抄録

1991年1月より12月までに, 80歳以上の高齢者の冠動脈バイパス術 (CABG) 症例6例を経験した. 90歳を最高に平均年齢は83歳であった. 5例 (3例の左主幹部病変例を含む) が三枝病変例で, 術前からIABPないしはカテコールアミンを必要とするNYHA分類IV度の重症例であったため, 緊急ないしは準緊急下に手術を行った. 結果は, カテコールアミンの使用期間, ICU滞在日数ならびに術後在院日数の長期化がみられた. しかし, 1例を術後5か月の入院死亡で失った以外, 5例の生存例が得られ満足すべき結果であった. 高齢者CABGの手術適応の決定に際しては, 患者の暦年齢だけでなく生理的年齢を考慮する必要があり, 80歳以上といえども十分CABGは可能と考える.

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