日本心臓血管外科学会雑誌
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経食道心房ペーシング負荷法による虚血性心疾患のスクリーニングについて
とくに下肢閉塞性動脈硬化症例と大動脈瘤症例に対して
東 健一郎広瀬 一松本 興治荒川 博徳
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1993 年 22 巻 6 号 p. 456-461

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抄録
運動負荷心電図を施行することに問題がある下肢閉塞性動脈硬化症 (ASO) や大動脈瘤の外科治療時, 虚血性心疾患 (IHD) の合併が問題となる. そこで今回, 経食道心房ペーシング (TEP) を用いてIHDの有無をスクリーニングする方法を検討した. TEPと冠動脈造影 (CAG) を施行したASO30例と大動脈瘤24例を対象とした. スクリーニング手順としては, 原則的に狭心症様症状あるいは安静時心電図でST変化や異常Q波を認めた例や, TEP陽性例にはCAGを施行した. このCAG施行例において, TEPのIHDに対するスクリーニング結果つまり感度, 特異度や正確度を検討した. ASOでは, 感度90%, 特異度67%, 正確度83%であり, 大動脈瘤では, 感度80%, 特異度93%, 正確度88%であった. ASOと大動脈瘤の両疾患全体では, 感度87%, 特異度83%, 正確度85%であった. 以上より, ASOと大動脈瘤の外科治療に際し, IHDのスクリーニング検査法として, TEP法は, 無侵襲的で, 簡易で有用な方法と考えられた.
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