日本心臓血管外科学会雑誌
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Stanford B型大動脈解離の遠隔成績からみた治療方針の検討
黒田 弘明佐々木 成一郎石黒 真吾原 陽一濱崎 尚文森 透
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1994 年 23 巻 2 号 p. 92-96

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抄録

最近の11年間の41例の Stanford B型大動脈解離症例に対し, 臓器四肢の虚血, 破裂, 拡大瘤化, A型解離への進展などの合併症を併発したときに外科治療を行ってきた. この方針の妥当性を遠隔成績から検討した. 解離合併症は22例 (53.7%) に発生し, 四肢虚血5例 (12%), 破裂3例 (7%), 拡大瘤化13例 (32%), A型解離4例 (10%), DIC1例(2%) であった (重複例あり). これらに対し姑息的手術を含め17例に手術を施行した. 遠隔成績は5例 (12%) が解離関連死亡, 6例 (15%) が他病死し, 累積5年生存率は84.2±6.8% (解離関連86.7±6.6%) であった. 解離関連死亡例5例のうち4例はA型解離への進展をきたしており, 死因はA型解離の手術死亡2例, 破裂3例であった. 治療方針の順守とA型解離手術成績の向上がB型解離症例の遠隔成績の向上につながると考えられた.

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