日本心臓血管外科学会雑誌
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冠動脈バイパス再手術の検討
益子 健男中野 雅道鈴木 和彦水野 朝敏坂本 吉正奥山 浩清水 昭吾黒澤 博身
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1994 年 23 巻 3 号 p. 152-155

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抄録
1974年7月より1993年2月までの間に行った258例の冠動脈バイパス術のうち, 他施設での初回手術例を含めた10例に11回の再手術を行った. 初回手術例との比較では年齢が高いこと, LVEFが劣る点で有意差が認められた. 初回手術からの期間は1年以内と10年目前後が多く, その原因としては早期では技術的問題によるグラフト不全があげられ, 晩期では経年変化によるグラフト不全に加え, 冠動脈病変の進行が認められた. 手術成績は手術死亡2例, IABP使用5例, 止血再開胸3例, 縦隔炎3例と満足できるものではなかった. とくに, 死亡例については術後の心電図変化より開存静脈グラフト領域の梗塞所見を認め, 動脈硬化性変化をきたした静脈グラフトのアテローム性内膜の遊離の関与が強く疑われた. 再手術に際しては diffuse な狭窄病変を有する開存静脈グラフトが存在する場合には結紮などの処置をすべきである. また合併症を最小限に食い止める点からも左開胸は再手術において有用なアプローチ法である.
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